結果と過程の認識のズレ
「証拠を押さえて欲しいのですが、いくらでやってもらえますか?」
こう言った質問や相談、問い合わせをしてくる人達が多いというより、ほとんどがそうなんだけど。
行方や所在、身元調査の類であるのなら、
「対象者を見つけて貰おうと思ったら、いくらくらいで、やってもらえるんですか?」
とみたいな感じの問い合わせの仕方をほとんどの人達がしてきがちなんだけど。
正直、問い合わせや質問をされる側の探偵事務所からすると、このような聞かれ方をされても、答えようが無いのよね。
「でもどーして、問い合わせをする側の者と、問い合わせをされる側の者とでは、何がどー認識の違いとか、ギャップが生まれてしまうのかな?」
って色々考えたり、
「どーしたら、その辺りの違いを埋められるんだろか?」
って、いつも僕は考えたりしてるんだけど。
問い合わせや質問をしてきてる人たちの気持ちは、よく分かるんだよね。
結局、いったいいくらお金を用意すれば、『自分が求めている結果』…証拠収集を目的としている人であるなら、『目的
の証拠』であったり、行方や所在であるのなら…『対象者の今現在の居場所』等の情報が手に入るのだろう?
って不安や心配とかが、よぎるのは当然だと思うんだ。
ただ…考え方を変えて見れば分かると思うんだ。
そもそも、探偵事務所の側ですら、その人が考えてる様な目的地に、いつ、どのような感じで…辿りつけるのかは、分からないわけで。
予想外,想定外の…不測の事態が起きるかもしれないしね…。
ってか、そもそも、実は調査ってモノ自体が、そー言ったモノなんだよね。
分からないからこその…『調査』なワケだからさ。
だから、『過程』や『作業』についての見積もりは出せても、その人が求める『目的の結果』に、どの段階でたどり着けるかって事に対する見積もりは、無理なんだよね。
もしかしたら…『調査』といった言い方は、やめて…『実験』って言い方をすれば、理解しやすいのかのしれないね?
要するに、
「(一応、事前予想,予測は立ててやるけれど。)その辺りについては…実際に、やってみない事には、どんな実験結果となるかは、何とも分からないですね…。」
としか、言いようが無いモノなのさ。
例えば…こう言った例を挙げて考えたら、理解しやすいんじゃないのかな?
「船に乗って沖合に行って、出来る限り大きな鯛を釣って来て欲しい!」
「何日かかりますか?」
「いくら出せば、やってくれます?」
って聞かれたら、あなたなら…どう答えます?
そもそも、船に乗って行って、いきなり直ぐに、釣れるかもしれないし、すぐは無理でも、その日の内に、釣れるかもしれない。
または…何日も粘っても、なかなか釣れないかも?
その時の海の状況もあれば、色んな諸条件等があって…
「何日かかりますか?」
って聞かれたって…誰だって、
「実際漁に行って見ない事には、分かりませんよね?」
としか、答えようがないよね?
また…
「出来る限り大きな鯛を釣って来て欲しい!」
って言われても、漠然としてて…。
そりゃさ、大きな鯛が釣れるように、努力はするけど、そうそう誰だって思うようには行かないわけで。
折角、鯛が釣れても、
「それは小さいですね…。」
と言われたら…またそのまま続行しなきゃならないわけで。
いつ、その人が満足出来る大きさの鯛が釣れるのかってのは…実際にやって見ない事には分からないし、運次第であったり…。
要するに、海の状況とか次第なわけ。
これと同じなのよね。
こっちとしては、出来るだけの事をやったとしても、頼まれた時に、対象が…そう言った動きをしてくれなければ、こっちとしては、どーしようも無いわけで。
そーなると、また日を改めて…行うしかないわけさ。
その人が考えている、『目的の到着地点』と言ったとこにたどり着くまでの金額や、日数や時間を聞かれても…答えようが無いってわけさ。
で、どこの探偵事務所も、見積もりって言って…出来うる限り、細かく…そして正確に…って事を考えてのモノとして。
問い合わせをして来てくれてる人に対して、最大限に細かく出してあげれる見積もりとしては、
「船を使えば、船代として…普通サイズの船であれば、1艘につき1日○円です。但し、大きさが変われば金額も変わってきます。」
「船頭さんの一日分の人件費は…込みでも良いですが、釣り人一人につき、日当は1日○円となります。」
「一人では、なかなか釣れる確率が不安であると考えるのでしたら、1艘の船に、希望の人数の釣り人を乗せる事は出来ますが、その分…人件費も増えますよ。」
「また、釣り人が増えれば増えるほど、釣りの餌代などの経費も増えますよ。」
「泊まりがけで、行うとなれば…宿泊費も人数分発生しますし…。」
「ご希望の場所の海が、どのような状況であるとかを事前に確認し、その状況に合わせた仕掛けを考えて準備を行う必要がありますと…またその分の手間も発生しま
すしね。」
「いきなりのぶっつけ本番でやれって言われればやりますし、逆にそちらがその辺りの事前確認や事前準備を行ってくれてるのなら、こちらは行う必要が無くなるので良いですが。」
「ちなみにこちらが行うのでしたら…事前準備費として、○円も余分にいただかなくては…どうですかね?」
「釣った鯛は、どこでどのようにお渡しすれば良いですか?」
「港まで来られますか?それならその場でお渡しできますけど。それともご自宅までお届けしますか?」
「あと…もしついでに調理も希望されるのなら…調理はこちらでします?それともそちらで行います?」
「これらについても、やはり…手間や経費が変わってきてしまいますので…もしご自宅までお届けでしたらプラス○円ですし、調理を行うとなりますと、プラス○円となります。」
「とりあえず、何日分人や船を確保しましょうか?その際、釣り人何人手配したら良いですか?船は何艘手配しておきましょうか?」
と、問い合わせをして来た人に対し質問をし、
「じゃぁ○月○日○時から…○日間(○時間)漁に出て下さい。その際は、船については、普通サイズの船を○艘、釣り人は、○人で行って下さい。」
「事前準備や事前確認は、こちらでやっておきます。」
「港まで行きますので、その場頂きます。調理は不要です。」
と、問い合わせをして来た相談者が、そのような要望で頼みごとを決めたら…
(細かい事を言えば…その問い合わせをしてきてる人の持っている限りの…ある程度細かな情報を元に、
「どう言ったやり方で、どう言った道具や仕掛けを行うのか…。」
と言った話し会や打ち合わせを行った上で、その問い合わせをして来た人が…決行日、やり方、人数等の…方針等の最終決断をして…
って感じなんだけどね。)
「では、そうなりますと…船は○艘を○日間(○時間)ですから…○円ですね。」
「釣り人は○人を○日間(○時間)ですから…○円ですね。」
「では…合計で、○円となりますね。」
「ちなみに、1匹も釣れなくても、たとえ釣れたとしても、その鯛が、思うような大きさでなくても、この金額はどーしても発生してしまいます。」
って感じに会話をしながら、見積もりを出す以外ないのさ。
「いつ、希望の鯛が釣れますか?」
って聞かれたって、誰もの分かるわけがないわけで。
(細かい事を言い出したら、どんな仕掛け、どんな餌、どんな道具を使ったら…たまたまその時は…効率良く、釣るコトが出来るのか…ってのも、鯛に聞かなきゃ分かんないよね?)
質問してる側も分からなければ、質問されてる側も分からないわけで。
ぶっちゃけ…こんなの、鯛(対象者)自身以外には、答えられないモノだからね。
でも…鯛(対象者)に、聞くわけにもいかないわけで。
だから…結局は、『未来予想』を問いただされているのと同じなんだよね。
「ココは絶対に通るハズだから、ココで待ち構えていれば…絶対に顔が撮れるハズ!」
って思って、待ち構えていたら…確かに、その場所を対象者が通ったけど…たまたま…何かがあって、カメラを構えてた方向とは違う方向に顔を向きながら…歩いてて…。
「あーっ!?何故?何故このタイミングで、向こうを向いちゃってるわけ?これじゃぁ後頭部(横顔)しか…。正面が撮れるハズだったのに…。」
って事だってあるわけで。
たまたま…確かに想定した場所を通ってくれたけど…想定してた時間とは全然違ってて…
「何故に?こんな時間に、ここを通ってくれても…折角正面向いてくれてても…逆光で顔が暗くてダメじゃぁーん…。」
ってコトもあるわけで。
こう言ったモノであっても、
「証拠としては問題ないので、目的は達成出来てますよ!」
って言う判断をしてくれれば…良いけど。
「いや、これじゃぁ…弱いから…続行して下さい。延長して下さい。」
って言われれば…また違ってくるわけで。
でしょ?
そー言う訳なのさ。
(-.-)b
「証拠を押さえて欲しいのですが、いくらでやってもらえますか?」
「対象者を見つけて貰おうと思ったら、いくらくらいで、やってもらえるんですか?」
って聞かれても、見積もりは出しようも無いわけさ。
同様に、
「じゃぁ○月○日○時から…○日間(○時間)漁に出て下さい。その際は、船は○艘、釣り人は○人で行って下さい。」
「これで確実に、私が思ってる様な鯛は釣ってもらえますよね?」
って聞かれても…
「出来るだけの努力はします。」
とは答えられても、
「はい、大丈夫です!」
とは…どこの探偵事務所も言えるわけがないのさ。
逆に言えば、
「あなたの言う日の、あなたの言う時間に、あなたの言う通りの事をすれば…確実に、あなたの言う通りの様な鯛が釣れますかね?」
って聞かれて…みんなは、
「はい、大丈夫です!確実に私(僕)の言う通りに、その日時に、やれば!」
答えられます?
それと同じだよね?
(-.-)b
ちなみに、話は変わるけど。
「絶対結果は出します!」
みたいなコトをうたってる探偵事務所ってあるけど。
あれは…言葉のマジックだよね?
「あなたに指示たように漁に出てやってましたが…1匹も釣れませんでした…。」
って答える行為も、結果は結果なのさ。
漁に出た結果を答えてるんだからさ。
ある意味…
「調査は行いますが、調査結果や内容について…または、どんな状況になろうとも、一切の保証はしませんよ!文句は言わないで下さいね。」
と言う事をあえて…ってか、ワザと隠して…広告宣伝や営業トークをやってるにすぎないわけなのよね。 (-.-)b
あと…たまに、疑問を持たれるモノとして。
「ちなみに、1匹も釣れなくても、たとえ釣れたとしても、その鯛が、思うような大きさでなくても、この金額はどーしても発生してしまいます。」
ってコトについて、疑問を持つ人がいるようだけど。
って事で、
「それなら成功報酬制の方がお得なんじゃ?」
って思う人もいるけど。
その辺りについては…こんな例を出したら、理解しやすいんじゃないのかな?
『アルバイト募集』
内容 : コンビニエンスストアの店員
(レジ打ち、清掃、品だし等…)
時給 : 勤務時間内にお客さんが来てくれれば、売れた金額に対して上限○円で支払います。
(但し…お客さんが来なかったり、来ても○円以上の売り上げが無ければ、無給となります。)
|
って言う募集広告があった場合と
『アルバイト募集』
内容 : コンビニエンスストアの店員
(レジ打ち、清掃、品だし等…)
時給 : ○円 |
って言う募集広告。
ちなみに、そのお店は…繁盛店かどうか…分かりません。
お客さんが、一人も来なくても、清掃作業など、勤務時間内は、あれこれやる事はあります。
ってのがあったら…どちらに応募します?
ハッキシ言って、お店の立地条件であったり、広告宣伝とか、そんなこんなの…お客さんが来てくれるとかっていう努力は、お店側の責任なわけで。
たまたまその時だけ頼まれてるだけの、ポッと出のアルバイトが、無給にされてまでの責任は負う必要は無いよね?
それと…同じなわけさ。 (-.-)b
あと…成功報酬制の場合は…
「確実にその大きさの鯛が釣れる!」
って確証がない限りは、引き受けないモノなのさ。
話を聞いてて、その確証が持てない限り、どこの探偵事務所も成功報酬制では引き受けないよ。
成功報酬制をうたってるトコであってもね。
例えば…
「釣り堀みたいなトコで、確実に思うような大きさの鯛以外はいない。」
「確実に、決まったような餌や仕掛けを使えばいくらでも釣れそうだ!」
って感じの確証が持てる案件以外は…ね。
だって…どこの探偵事務所も、営利目的でやってるわけで。
赤字になるような事は絶対にするわけが無いじゃん!
って考えれば…
「確実性がある!」
って言った確信が無い限りは…成功報酬制では、引き受けるわけ無いからね。
って事は、素人さん的には難しそうに見えても、業界人的には…簡単そうな案件ってあるんだ。
そー言ったケースの案件が、そう言った感じで引き受けてもらえるモノだわね。
逆に、普通に時間計算や日数計算して引き受けるより、成功報酬制で引き受けた方が、利益率が高くなるからさ。
(-.-)b
一応…
「思うような結果が出せなかったら、損を被る代わりに、思うような結果が出せた場合は…通常以上のお金を払って下さいね。」
「それだけのリスクをこちらは負っての契約ですから、そちらもその辺りはお考えいただいて、支払いの際は、よろしくお願いしますね。」
と言う訳だから、当然それなりの思う結果が得られた場合は、通常の契約時よりも、割増料金が得られるわけだよね?
(見せかけ的には…)『利益が得られないかもしれない…。』と言ったリスクを探偵事務所側は負ってやってるってコトになってるわけだからさ。
(実際には、素人目には、なかなか思う結果を得る事が、一見したら、困難そうに見えても…業者側からしたら、そーでも無いと確証が持ててじゃない限り、このような契約は行わないわけだから。
結果として、成功報酬制で契約した人の場合は、通常の契約方式の方が、かえって得な場合が多いかも?
もしかしたら…逆に、成功報酬制で引き受けて貰えないケースの方が、成功報酬制で引き受けてもらったりするとお得なのかも?)
ある意味…。
成功報酬制で引き受けてもらえたって事は…その人のケースの場合…一見、得した気分であるかもだけど、逆に損してる場合が多いよ。
(-.-)b
また…
「この日のこの時間、浮気してるかもしれないので、調査して下さい。」
って言った問い合わせの人のケースの場合…
これは…確かに浮気の証拠が欲しく手の調査と言っても、いわゆる…『確認調査』の部類であって、『成功報酬制』には、似つかわしいと言うか、当てはめようが無いモノなわけさ。
だって…確かに、その日のその時間に…浮気していれば、
「浮気してましたよ。」
ってな報告になるよね?
当然…となれば、ついでに浮気の証拠も漏れなくついてくるわけだけど。
しかし…その日のその時間に…浮気をして無ければ、
「どーやら、浮気はしてませんでしたね…。」
って言うのが、報告結果となるわけで。
これ…この日のこの時間に、調査をやったにも関わらず、浮気の証拠が撮れなかった責任は…誰のせい?
ってか、誰のせいとかじゃなく、いわゆる…『確認調査』の部類なわけだから…
指定の日時や期間に、浮気を確認するコトが出来れば…
「浮気してましたよ。」
(+不貞の証拠)
浮気が確認するコトが出来なければ…
「浮気はしてませんでしたよ。」
ってのが、依頼された事に対する…『結果報告』なわけだよね。
例えば…もし…
「○○にあるスーパーに、リンゴが売ってるかどうか見てきて!」
「もし売ってたら、買ってきて!」
って頼まれて…
指定されたお店に売ってたら、買う事が出来るけど。
もし指定されたお店にリンゴが売って無かったら…誰が頼まれようが、買えないじゃん!
で、
「リンゴを買ってこなかったから、あなたには一切経費も時給も払いません!」
って言われたら…あなただったら…どう思う?
それと同じなわけさ。 (-.-)b
だから、『確認調査』の部類ってのは、成功報酬制度には、似つかわしくないから…こう言った類のケースの場合は、どこも成功報酬制では引き受けてくれないわけさ。
こう言ったモノに、そもそも…不貞の証拠の成功や失敗…って変な話でしょ? (-.-)b
話は戻って。
結局は、見積もりって言ったって、所詮は…『指定された過程や作業に対しての見積もり』は出せても、『未来予想を行ってまでの見積もり』ってモノは、いくら頼まれても…誰にも出せないって事だわね。
(-.-)b
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